斜め上からナスコ

言わなくてもいいことを言いたい

すべての貧しき者に愛を。

 

 

今日の寒さはなんなんですか?せっかく晴れたのに風が強い&冷たい。最近 大相撲問題の影響か、ワイドショーでやたらとモンゴルの街の映像が流れるんですけど、あれを見るたびにモンゴルに住んでいる人の温度感覚がどうなってるのか謎で仕方ない。マイナス30度って。は?

 

 

 

さて今日は久しぶりの午後休だったので溜まっていることを済まそうと、まずは近所の激安スーパーに買い物へ。買いたいものをリストアップしたのに紙を家に置いてきた。てか今どきスマホにメモしろよと自分にツッコミながら、店内をグルグル回って買いたかったものを必死で思い出す。この激安スーパーはあらゆるものがやたらと安く、買う予定のなかったものにまで無意識に手が伸び、レジ近くまで来るとカゴがいっぱいに。そしてレジ前の最後の誘惑。わたしの大好物ランキング上位にランクインするロッテのチョコパイ(10個入り)がこれでもかと積み重なって安売りになっている。一箱198円。迷いのない手つきでカゴに投入してお会計。財布を開くと、なんと所持金が2428円(くらい)。まずい。足りるだろうか。加算されていくレジの小窓を祈りながら凝視する。ピッ。2499円。嘘やん。

 

「すみません、玉ねぎやめます」いや絶対チョコパイだろ。玉ねぎ一袋158円。

 

 

計画性皆無のわたしにとって、お会計時にお金が足りないという事態はピンチでもなんでもなく「よくあること」。そこでいかにスタイリッシュにその場をやり過ごすか、というのがわたしの人生の課題の一つである。まだ真の答えは見つかっていない。今回は店員さんが大学生くらいの若い男の子だったので、「ごめんなさいね、えへへ」みたいな感じで笑ってごまかした。お茶目作戦だ。(サザエさんかよ)

 

 

スーパーの帰りにコンビニで水道代とガス代の支払いも済ませる予定だったのに、所持金0円だ。銀行でお金を下ろしてこようか、しかしこの大荷物でATMはきつい。一旦家に戻って出直しだ。どうせコインランドリーにも行かなくてはいけないし、どのみちまた外に出るからその時にしよう。帰宅して冷蔵庫に品をしまっていると、今日買ってきた納豆もスライスチーズもキャベツも、まだストックが残っていた。これで完全なるサザエさんができあがった。

 

ところが肩を落としたのもつかの間。ラッキーなことに、テーブルの上に500円玉が。なぜここに500円玉が置いてあったのかは忘れたが、まぁわたしの部屋とはそういうところなのだ。(要するに散らかっている)

 

 

 

4人家族かな?と思わず微笑んでしまうほど大量の1人分の洗濯物を袋に詰めたら、いざコインランドリーへ。この500円でまず洗濯をかけ、待ち時間に銀行でお金を下ろし、コンビニで支払いも済ませる。これで完璧。また冷たい強風と闘いながら、自転車をこぎこぎコインランドリーへ行くと、なんと臨時休業。閉まったシャッターの前を漫画みたいに枯葉が飛んでいく。わたしも漫画みたいに青い顔になってしばらく立ち尽くしたが、少し足を伸ばして別のランドリーに行くことにした。入ったことはないけど、時々前を通って見かける限りでは悪くはないはず。

 

 

入り口の前に自販機数台と簡易的な喫煙スペースが設置されている、典型的なコインランドリーだ。入ってみると想像より古めかしく、古代遺跡みたいなソフターの自販機が隅っこに置いてある。本棚に並んでいる漫画のラインナップからして客層は完全におっさん。予想通り、一人のおっさんがわたしの後に入ってきた。

 

 

洗濯機を開けると、使い古された証拠ともいえる独特な匂いが鼻に付く。ま、ここまできたらしょうがない。そういうのあまり気にするタイプでもないし。洗濯物を詰めてから財布を開けると500円玉が1枚。しまった、洗濯機には100円玉しか入らない。いつものランドリーには綺麗な両替機があるのに、ここにはないようだ。あんまりきょろきょろしていると、田舎から出てきたばかりの小娘だと勘違いされそうなので、すぐに外の自販機で500円玉を崩す。両替機のないコインランドリーなんて、ありえない。

 

 

銀行とコンビニで用事を済ませてランドリーに戻ると、洗濯が終わっていた。大量の中身を今度は乾燥機に押し込む。さて、と財布を開けると小銭入れには50円玉3枚と無数の10円玉。お札は5000円札が1枚。何故。何故こうなった???怒り半分、やるせなさ半分で頭を巡らす。10円玉を数えてみると7枚ある。つまり今、小銭は220円ある。しかし100円玉がない。乾燥機を動かすには100円玉が1枚必要。両替機はない。遺跡化したソフターの自販機ならあるけど。さて、あなたならどうする??

 

ムカつく。なんでせっかくの休みに、こんなおっさん専用ランドリーで ひとり脱出ゲームみたいなことしなくちゃならないのか。外の自販機には1000円札までしか入らない。またコンビニへ行って5000円札を崩してくるか。いや、こんなに寒いのにまた自転車を走らせるのは絶対嫌だ。じゃあ今そこでゴルゴ13を読んでいるスカジャンのおっさんに交渉して両替してもらおうか?いや、そんなことも絶対したくない。

 

しばらく考えたのち名案を思いついた。自販機に200円を入れて、100円の缶コーヒーを買おう。そしたらお釣りが100円玉で返ってくる。ああ、二十数年生きてきて身についた知恵がこんな風に発揮されるなんて!わたしって天才!得意げにコインを投入し、100円のホットコーヒーを購入する。お釣り入れに手を突っ込むと、あら不思議。2枚の硬貨が指に触れる。嫌な予感が頭をよぎり自販機の表示をよく見たら、「100円玉切れ」。握った手を開くと、50円玉が2枚そこにあった。

 

 

 

 

殺意に似たものが湧き上がってくる。濡れた洗濯物を乾燥機の中に残したまま、わたしはまた自転車のペダルに足をかけ、冷たい風を切ってコンビニへと走る。むしゃくしゃした時にやりたくなることといえば、散財。悪い癖だ。納豆巻き、ヤマザキパンのマロン&マロン、あとなぜかまた缶コーヒー。他にも菓子パンやおつまみを手当たり次第にカゴへ放り込みレジへ。お釣りで返ってきた小銭はギリギリの600円。今や恨めしくもある500円玉は財布に投げ入れ、やっと出会えた100円玉を手に握りしめて再びランドリーへ。

 

もうこうなったら、たとえあのおっさんに下着を盗まれていても何も感じない。もう全てがどうでもよくなってランドリーに戻ると客は誰もおらず、濡れたままの洗濯物もそのまま入っていた。100円を投入し、ようやく乾燥が始まった。ベンチに腰掛けてしばらく呆然としているとお腹がすいてきた。膨れ上がったレジ袋の中から納豆巻きを取り出して封を開ける。ふと何か視線を感じて顔を上げると、部屋の隅にある小型の防犯カメラがわたしを見ていて、その下に大きく「飲食禁止」と張り紙があった。

 

 

 

 

すべての貧しき者に愛を。

すべてのコインランドリーに両替機を。