斜め上からナスコ

言わなくてもいいことを言いたい

イノセント・風呂場

 

 

先週末、実家に帰ってきました。久々に兄が帰ってくるのでこのタイミングでみんなで揃おうということになり、久しぶりに一家で焼肉を食べに行ってきました。村崎家は節目やお祝い事の時は焼肉に行きます。

 

さて、実家に帰ってしたいことといえば入浴。とにかく温かい風呂に浸かりたい。この度は下着もしっかり準備してきたナスコですが、ひとつ詰めの甘い点がありました。いざ入る時になっていつも後悔するのです。シャンプーとリンスを持ってくれば良かった・・・と。

 

 

 

うちの風呂場は、なんと言ったらいいのかな。そう、奇妙です。ホラーではないけどニュアンス的なホラーって感じで、つかみどころのない歪んだ恐怖がそこにあります。ミステリーともいえるかもしれません。まぁわかりやすく言うと「イノセント・ガーデン」みたいなジャンルの怖さです。つまり「イノセント・風呂場」です(それが言いたかっただけ)

 

 

 

 

まずお湯。怪しげに濁った色。おそらくお湯を捨てるのがもったいないという理由で、前日のお湯を使いまわしているためと思われます。汚い。引かないでください。世の中にはいろんなタイプの家庭が存在するのです。別のケースとして考えられるのは、父が一番目に風呂に入る時にバブを入れ、それに気づかない母が入浴前に2個目のバブを投入して風呂に入ることがあります。1入浴1バブ制です。いやいや普通気づくだろ?!視界白黒なんか?!イカ2貫!」の要領で「バブ2包!」って言わせたい。千鳥のノブさんに。

 

 

 

そして一番奇妙なのはシャンプー置き場。うちの風呂場には3段の棚があって、そこにシャンプーリンス類が並んでいます。まず一番上の段からさっそく不気味な容器が。招き猫のポーズをしているが決して招き猫ではない猫の形をした、薄ピンク色のシャンプーボトル。実はこれ、わたしが小学生くらいの時から父が愛用しているボトルで、当初は目とか鼻とか描いてあったのに今じゃあ完全に剥げ落ちて、ただののっぺらぼう猫です。しかも中身なんですが、透明のトロッとした液体が入ってまして、父はこれで頭から顔から体から全て洗っておしまいです。どこで売っているなんというシャンプーかも知りませんが、どうやら敏感肌用らしい。うちの父は敏感肌なので、母がいつもこれを買ってきてこの猫ちゃんボトルに詰め替えているようです。これ以外では嗅いだことのない、良いとも悪いともいえない独特な匂いがします。

 

 

2段目には、わたしが実家にいた時に使っていた洗顔ソープ(クラシエのナイーブ 桃の香り)がおそらく当時のままの状態で置かれたままになっています。持っていかなかった自分が悪いんですが、もはや持って帰るタイミングを失ってしまいました。まるで文化遺産の如く大切に保存されています。悪くなるものじゃないので、帰った時はそれ使って顔洗っています。もう一本立っている白いボトルは、昔から母が使っているジェルクレンジング。まだ化粧などしなくても外を出歩けたあの頃のわたしが、このクレンジングジェルを保湿ジェルと間違えて、風呂上がりに顔に塗りたくっていた苦い思い出が蘇ります・・・。デカい字で「クレンジングジェル」って書いてあるんですけどね。若さとは愚かさであります。

 

 

3段目は母ゾーン。まずお伝えしておきたいのは、村崎家の風呂場ではシャンプーとリンスが揃って同じメーカーのものが置いてあるのを見たことがないという点です。普通、アジエンスとかいち髪とか、シャンプーとリンスがセットになってるわけじゃないですか。でも村崎家にはそんな「普通」は通用しません。怪しげな海外製のシャンプーと、見たことも聞いたこともない謎のメーカーのリンスと、高級ブランド?の極小の容器に入ったコンディショナー。みたいなラインナップになっております。特に目立っているのは、グアム土産みたいな装いをした海外製のシャンプーボトル。深緑の容器に英語のラベルが貼ってあって、ハニーとかなんとかって書いてあります。日本製みたくポンプ式の容器じゃなくて、蓋をパカって開けて下を向けないと出てこないタイプのやつ。中には透明のシャンプーが入っていて、ハチミツのような柑橘系のようなボンヤリした甘い匂い。何が怖いってこのシャンプーで頭を洗うと、髪がこれ以上ないくらいキッシキシになります。食器用洗剤かな?わたし今 キュキュットで髪洗ったんかな?ってくらいキッシキシです。慌ててリンスに手を伸ばすと、これまたよくわからないメーカーの製品でして。日本製なんですけども、街のドラッグストアで売ってるのを未だかつて見たことがないです。中身は普通のリンスで香りもいいのですが、髪になじませるとなぜかちょっと泡立つという奇妙な現象が。これもしかしてシャンプーなのでは?という疑いにかられ、不安になりながら流すと、さっきの髪の軋みが完全に消えているので良しとします。

 

 

 

そんな棚を目の前に「あぁ、使い切りタイプのシャンプーとリンスを持ってくれば良かった」と、自宅の洗面所に溜まっているあの試供品たちを思い出しては、やるせない気持ちでがっくりと肩を落とす。これが実家での入浴時の恒例行事となっております。