斜め上からナスコ

言わなくてもいいことを言いたい

17歳の感性:漫画「恋は雨上がりのように」の話

 

今日はまさに極寒の一日でしたね。外出禁止令を出して欲しいくらいです。

 

さて毎年のことですが、東京で雪が降ると大騒ぎですね。毎年のことだからこそ、なんで毎年同じことを繰り返すんだろうと不思議に思ってしまいます。なんでああいうときって、みんな帰宅したがるんでしょう?周りが帰宅ムードだからでしょうか。

 

震災時はともかくとして、雪くらいだったら「みんな大好きスタバ」にでも入って少し待てば電車も落ち着くだろうに。と、冷めた目で見てしまいます。帰らなきゃいけない用事があるならしょうがないですけど、そうでもないのに雪だってだけで急いで帰らなきゃとなるのはどういう心理なんでしょうね。雪国の人は嘲笑ってるでしょうね。

 

学生時代は気楽だったなぁと思い出します。

高校は電車通学でした。雪が積もると電車が遅れて遅延証明書が発行されるので、それを黄門様の印籠よろしく見せつければ、遅刻も遅刻とはならないわけです。そもそも学生時代、遅刻をしたところで特に誰かに多大な迷惑をかけるわけでもなかったのです。ただ自分が損するだけ。ただし遅延証明書が発行されるならその自分の損も軽減されます。これはまさに遅刻のチャンス!わざわざ寒いホームに並んで、混んだ電車で不愉快な思いをしなくても、ちょっと待てば空いてくるだろう。駅ナカドトールに入り、スカした顔で朝から一杯飲んでいた制服姿の自分を思い出します。

 

就職してから同じ事態に遭遇した時、本当に絶望しました。ああわたしも大人になってしまったんだな、という感じです。雪のせいだから、と あきらめられない絶望感。当時シフト制の仕事だったので なおのこと、自分が遅れることで早番の人に多大なる迷惑をかける。しかもこの遅れている時間も自分の給料は一応は発生している。遅刻とはこんなに自責の念にかられるものか、と。全部 雪のせいなのに。寒さと焦りに泣きそうになりながら、人の溢れかえるホームで もみくちゃにされて、社会人の辛さを知った若かりしわたしでした・・・。

 

 

さて、この度の東京の降雪。

あれからウン年経ったわたしの雪の日の過ごし方と言えば、午後3時には難なく職場から帰宅していました(笑)今の仕事は通勤に電車を使わないし、動きも割と自由なもので・・・。帰宅して、20℃の部屋(もはや温室)で、テレビは一切つけず、カーテンも閉め切ってぬくぬく静かに過ごしました。

 

そして友人から借りた漫画を読みふけっていました。

恋は雨上がりのように」1〜9巻。

 

f:id:enido_xxxxxworld:20180126005802j:image

 

少し前、小松菜奈ちゃんにハマっていた時、『実写化決定!主演 小松菜奈』みたいなネットニュースを見たことがきっかけで、この漫画のことはちょっとだけ知っていました。そしたら友人が全巻持ってるとのことで借りてみたのです(まだ完結はしてません)。

 

昔からウチには漫画を読む文化がなくて、今まで読んでこなかったので、本屋さんの漫画コーナーとか入る勇気がないんです。ましてウチは活字を読め、小説を読めっていう教育(=漫画なんてくだらない)だったこともあってか、小説の値段は気にならないのですが、お金を払って漫画を買うってことには正直 少しだけ抵抗がありました(炎上不可避発言。漫画ファンの方には深くお詫び申し上げます・・・)。

 

この漫画を読んでその偏見をガラッと変えさせられました。今までは友達から漫画を借りて まぁまぁ面白くても、続きを自分で買ってみようと思ったことはありませんでした(自分の金で漫画を買ったことのない人生)。でもこの「恋は雨上がりのように」、これほど続きが読みたいと思ったことはないです!!10巻からは自分で買ってもいいと思うくらい!

 

 これは単なる恋愛漫画ではない、と思いました。非常に文学的で尚且つ、17歳という微妙な年頃の女の子をすごくうまく描いているなと思います。この漫画のタイトルを決めていいと言われたら、わたしなら「17歳」にすると思います。大人でもなくて、子供でもない年齢。そして何かしらのコンプレックスを抱え、中学生の時のより世の中のことがより見えてきたことで純粋さや情熱をやや失い始めたものの、それでもまだ自分をあきらめたくない葛藤というか。

 

ヒロインの橘あきらは、バイト先の店長に恋をします。45歳バツイチの本当に冴えないおじさん。若くて綺麗で無垢な17歳の女の子がそんなおじさんに恋をするなんてだれも予測しないし、いかにも漫画の設定らしいよねって最初は思いました。でも読んでみたら違ったんです。超リアル。よく思い出せば自分だってそうだったじゃん。と思いました。

 

思い返せばわたしも、冷めた女子高生でした。周りの女子たちが心ときめくものに、自分もどこかで憧れていながらも、周りと一緒になって夢中に追いかけるのはダサいというか恥ずかしいというか。要するに、尖ってました。恋愛についても背伸びしたがるというか、少女漫画のようなベタで胸キュンな恋物語には全く憧れず、同級生の男子なんて幼稚で相手にならない、くらいのこと思ってました。中学生の頃の純粋無垢なわたしはどこへ・・・(前回の記事を参照)

 

むしろもっと大人で包容力があって、リードしてくれて、なんならちょっと影のあるくらいの大人の男性のほうが魅力を感じたものです。そういう人は大人ゆえに必然的に、子供の自分を受け入れてくれるからです。別に自分のことを異性として好きだからそうするわけではなくて、大人が子供を気遣うというごく自然のことであるのに、17歳のわたしはそれを好意と錯覚してしまうのです。

 

それとこれは少しネタバレになってしまうかもしれないですが、あきらの両親は離婚していて、お父さんがいないんですね。ある時、久しぶりにお父さんと2人きりでご飯を食べに行くんですが、その時のお父さんの言動と、45歳店長の言動にはとても似たところがあるんです。これもあきらのコンプレックスの一つを暗示しているかのようでした。自分が本来受けるべき(親からの無条件の)愛が足りていないゆえに、それを補うものを得ようとする。それが父親ほど歳の離れた店長との恋愛という形になってしまう。店長は大人で、自分の幼さを受け止めてくれる。優しくて、自分が辛い時に励ましてくれる。そして店長にも弱いところがあって、そこを自分が補ってあげたい、そうできるに違いないと感じてしまうのです。

 

部活での挫折や友情関係の微妙な揺れを経験するあきら、青春時代やずっと追いかけてきた夢をまだ捨てきれない少年の心を持つ店長、いろいろな要素が織り混ざり、ただの恋愛物語ではなく、多感な青年期の感情を絶妙に表現した文学的作品なんではないかと思えます。

 

 

 

・・・と、つい最近イッキ読みした奴にしては随分偉そうな書評をしてしまいましたが。

これから、もっと偉そうなこと言います

 

 

映画化が心配〜!

 

 

調子に乗りました(笑)

でも本当に、最近ありがちな軽いラブコメにだけならないことを願います。ただな〜 店長役が大泉洋だからな〜 怪しいな(失礼)

 

ちなみに、公式サイトできてました⤵︎

特報映像もあがってます。

 

 

ということで、回し者か?ってくらい絶賛してしまいましたが、ぜひ読んでみてください。

恋は雨上がりのように

 

そして漫画ファンの皆様、わたしの漫画に対するナメた態度について重ねてお詫び致します・・・