斜め上からナスコ

言わなくてもいいことを言いたい

一人行動しすぎてプロになってた

 

 

自粛期間、一人で時間を過ごすことが増えたからという理由では全くなく、もともと一人で過ごす時間が大好きすぎて一生独身説絶賛浮上中のナスコです。こんちわ。

 

 

ひとり焼肉、ひとりカラオケ、ひとり高級レストランなど、本来なら大勢で楽しむことが「一般的」とされる娯楽を1人で楽しむ人が増えている近年。その最難関とも言われる「ひとりディズニー」に、ついに!!!!!先日行ってまいりました!!!!!(唐突)

 

 

いくら一人行動が好きなわたしでも、流石の流石にディズニーは一人で行ったことないし、あの夢の国でただ終始無言で自分の世界に浸るのは相当の至難の業と予想してました。私はなにも「ひとりディズニーをやってのけた自分」をドヤりたいわけではないのです。ただただ純粋にディズニーランドに行きたい!!けど一緒に行く人がいない!!!!!という実に悲しい現実を抱えた24歳女なのです……

 

 

年パス持ってるくらいの、いわゆるDオタと呼ばれるほどディズニーランドに精通しているのであればたぶんもうなにも怖くないだろうけど、私ごときのような人生で数えるほどしかディズニー行ったことがないような素人が、果たしてあの夢と魔法の国の空気を一人きりで吸って窒息死せずに乗り切れるものか。生きて帰ることができるのか。流石に怯んでました。途中で無性に虚しくなって帰りたくなったらどうしよう…でも入場料のこと考えると1日いなきゃもったいないな…周りからの目線が痛すぎてトイレに引きこもることになったらどうしよう…便所飯…?虚しすぎて帰り道を永遠に感じそうで怖い…などなど不安要素はいくらでも。

 

 

しかし!!そんな私が踏ん切りをつけるのにもってこいのニュースが飛び込んできました。それは、新エリアのオープンのニュース。美女と野獣をテーマにした新エリアと2つの新しいアトラクションがオープンするという吉報を耳にした私は思ったのです。「これは新エリアがオープンする前に行くしかない!」(異常)

 

 

新エリアがオープンした後はディズニー側も入場制限を多少は緩和させるだろうし、チケットがみるみる完売になっていく様子を見るとおそらく混雑が予想される。感染のことと、なによりも「ひとりディズニーデビュー戦」としてはやはり混雑は避けたい。新エリアは今後いつでもいけるけど、新エリアオープン前のディズニーランドはもう一生味わうことができないから、これはある意味レア体験!!(一周回ったDオタ的発想)ということで、新エリアオープン直前最後の平日のチケットをポチったのです!11時からのチケット、もちろん販売状況は余裕あり。

 

 

当日。私の中で嫌いな天気ランキング1位強風と2位小雨のツートップが見事にぶち当たるという最悪天候の中、私はひとり、舞浜駅に降り立ちました。何よりもまず入園前に人混みの中で一人きりで列に並ぶという行為が怖すぎたので、11時入園のチケットなのに敢えて余裕ぶっかました顔で11:30くらいに入園ゲートに到着。計算通りほとんど並ばずにスムーズに入れました。余裕こいた顔してる割には膝ガクガクで生まれたての子鹿のように歩いてた人を見かけませんでしたか?バンビ?いいえ、それはワイです。

 

 

思っていたよりも人が多くてびっくり。この悪天候&平日なのにと思ったけど、いま日付指定チケットだから購入しちゃった以上は天候関係なく来るんだよね。でも逆にこれ以上人が少なかったら一人行動してるのがより目立ってたかも…逆にこのくらい人がいて良か……

 

 

 

 

っとか考える暇もないくらいめちゃくちゃ楽しめました!!!!!!!!!!!!(もう結論)ワールドバザール入ってあのディズニー音楽が耳に流れ込んできた瞬間から「あ?!全然余裕!!サイコー!ハロー!シンデレラ城!だいぶ霞んでるねぇ!」となってました。真面目にディズニーの麻薬的パワー怖い。あそこの空気吸うとテンションハイになっちゃって何も怖くなくなる。「一人も二人も関係なくね!?とりまキャッスルグリーティング見るべ!?!?」みたいな気持ちになって真っ直ぐシンデレラ城前まで直行。一人一人間隔を空けての鑑賞になるので、グループで来ている人も結局バラバラにされて、鑑賞時はほとんど皆ある意味ひとりディズニー状態に。シンデレラ城の前でミッキーが手を振り踊り、我々民衆はそれを眺め、手を振り返し、カメラを向け、涙を流し…もうあれもはや宗教。それか北朝鮮。ただの教祖のご挨拶イベントです。

 

 

 

ひとりディズニーと言えど今回がデビュー戦なのでお手柔らかに見守っていただきたいのだが、ほとんどアトラクションには乗ってません(オイ)唯一、蒸気船マークトゥエイン号に乗りました。じゃあ一人で一体何をしたのかと言うと、ひたすら食う&買う!!うん、正直これなら誰でもできますね。まずは私が一番大好きなウエスタンランドのエリアへ。その中でも特に雰囲気が好きだから絶対に行こうと決めていたキャンプ・ウッドチャック・キッチンへ。食事処がどこも思ったより空いていて嬉しかったです。9月いっぱいで終わってしまう夏限定メニューを食べて大満足。音楽といい室内の感じといいとても好きなのでしばらく一人でぼーっと座っていたけど、それだけでめちゃくちゃ楽しい(たぶん周りの人の方が怖い)

 

 

それから、お土産屋さんの各所にカプセルトイのガチャガチャが置かれていて、それのエコバッグシリーズが可愛いというのをネットで見たので欲しかったんだけど、どうやら完売してしまっているようで、別のチャームに変わってしまっていたのでやめました。お土産屋さんを巡りまくり、めちゃくちゃ可愛いタンブラーを買うか買わないかで小一時間悩み、普段はあまり行かないトゥーンタウンを鬼のように徘徊。新エリアは中には入れないけど、ボヤ騒ぎに寄ってきた野次馬オバチャンのごとく覗き込み&激写。プラズマ・レイズ・ダイナーでは、仕事の休憩中にマックにコーヒー飲みに来た人さながらの日常感で過ごし。なんだよこれ。絶対に一人じゃないとできない贅沢な楽しみ方だよ。楽しすぎかよ。アトラクション乗ってるわけでもないのにもうとにかく楽しくて楽しくてしょうがなくて、叫びながら走り回りたいくらい開放的な気持ちでした!!!

 

 

夜に別用があったのと、出口が混む前に帰りたいなということでナイトフォールグロウは諦めて、夕方退園しようとワールドバザールへ向かうと、運良くそこにディズニーランド・バンドが現れ、ゲリラライブが!!ワールドバザール内に響き渡るバンドの生演奏。前の列で聞けて本当に感動。思わず涙が出てきて、あれ……お母さん……私ってもしかしてここで生まれたの……???ここが私の本当の故郷なのね……?????

 

 

もうとにかく幸せすぎの放心状態になってて、気づいたら次の日の朝になってましたわ。

 

調子に乗って、初ひとりディズニーの記念に2020ってでっかくプリントされたTシャツ自分へのお土産に買いました。てことで、来月はそれを着てディズニーシーのほうに行ってきます。はい、もちろん一人で。

 

 

 

 

この気持ち分かる人とは仲良くなれそう

 

 

 

職場にいるバイトの大学1年生のイケてる女の子から、好きな俳優とかいますか?って聞かれた。昔は即答できたけど、今は推しの人とかいないなぁと思った。アイドルとか俳優に夢中になることが、もうできない。しばらく考えてみて、いやいやそんなに本格的に唸るようなことでもないだろとちょっと焦って、とりあえず最近ドラマやCMでよく見る人を答えてみた。「田中圭とか、成田凌とか好きかな」と言ったら、「へー!なんか犬っぽい人が好きなんですね!」と返ってきて、自分では気付いてなかったけど確かにそうだなと思った。

 

 

 

「自分がどちらかというと猫っぽいから、自分に無い物を求めるのかもね〜」と言いかけてハッとする。なんだ「自分に無い物を求める」って。生々しい、生々しすぎて生臭い。おい、いま誰も理想の結婚相手の話なんかしてねーぞ。ただただ見た目が好きな俳優の話してるだけなのに、一人で勝手に妙にリアルな方向へ行きそうになっていてめちゃくちゃ恥ずかしくなる。危ない危ない。言わなくてよかった。ピチピチの大学1年生に向かってなんの話だ、ドン引きされるわ。もうこの歳になるとね、現実ばっかり見ちゃうのよ・・・

 

 

 

そんなことはさておき、アルコ&ピースの平子さんが前にツイートしてたことに全く同感。スクールカーストの上のほうにいそうな人、またはかつてそうだったであろう人の前だと未だにちょっと気が引ける。

 

 

 

そのバイトの女の子は6歳くらい歳下だからこっちはだいぶ大人ぶって接してるけど、正直自分が高校卒業してからもう片手では数えられない年数が経ってることとか全然受け入れてないし、うっかりすると同級生と喋ってるような感覚になる。でももしその子と自分が同級生だったら、たぶん仲良くなるようなタイプではない。彼女はおそらくクラスとか部活の中でも結構目立つところにいるタイプで、明るくてまっすぐでなんでも器用にこなせて、休み時間は友達とイケメン俳優について語ってるような女子だからだ。こういう子を目の前にすると、またはこういう子とうっかり楽しく話せたりすると未だにちょっとテンションが上がるし、一方では自分の中の自分が「わきまえろよ」って自分に釘を刺してきて、その感覚で一気に中高生時代にタイムスリップした気分になる。

 

 

 

大人になりたいぜ。

 

 

 

このTシャツで、けもの道を行きたい

今週のお題「お気に入りのTシャツ」

 

 

私のお気に入りのTシャツは、来月手元に届く。実物を手に取ったわけではないけれど、もうお気に入りの一枚になることは確定している。

 

 

それは、ハライチ岩井の「岩井中華T」である。

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※4種ある中から、私は黒の半袖を予約。

 

 

本日予約販売開始だったが、米津玄師のCDを上回る勢いで売れているようで、ハライチ岩井の静かなる人気(渦中にいると全然静かじゃないです)の凄まじさを見た。

 

※岩井中華Tが米津を抑えて首位に浮上したことを報告する帝国民と感心する閣下

 

 

思い返せば、私がハライチ岩井という人間にのめり込んだのは約2年前。きっかけはなんだっかさっぱり覚えていない。ハライチなんてもうとっくの昔に有名だったし、なんならピカルの定理とかよく観ていたんだから岩井さんの存在はもちろんよく知っていた。ただ、どんな人物かということは表面的にしか知らず、とりあえず澤部を操っているおかっぱで背が低い無口な男というイメージだった。それと、根暗なアニメオタクみたいなイメージもあった。だけどそんなイメージがガラリと変わったのは、たぶんラジオを聞いてからだと思う。それはまるで、もう何年も前から知り合いだった男友達を、ふとしたきっかけで急に意識し始める時の感覚に似ている。

 

 

私はもともとうしろシティが好きだったので、それがきっかけとなって、うしろシティとハライチが2組で回していたデブッタンテというラジオ番組の存在を知った。ただその頃にはもう放送は終わっていて、既に今の形態(TBSラジオで放送中の「うしろシティ星のギガボディ」と「ハライチのターン」)になっていたが、いずれにせよ過去の放送回がどれも面白く、よく聴きあさっていたのを覚えている。

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※前後半30分ずつ担当していた時代(2014-2016)

 

 

ラジオを聴いていると、岩井さんという人物は、暗いかと思いきやとても明るくて、無口かと思いきやとても喋るのが好きで、真面目かと思いきやいつもふざけており、尖ってるかと思いきや予想通りとても尖っていてそれがまた最高の魅力であり、とにかく一度ハマってしまったら抜け出せなくなる、そんな人だった。事実、私はアニメには興味がないし、声優も詳しくないし、ヤン車の類も分からないし、ヒステリックミニのTシャツを着たこともないし、唯一 岩井さんの影響でスピッツと猫が大好きになったくらいだけれど、自分の好きなことをとことん楽しんで、周りに流されることを嫌い自分らしく振る舞って生きている岩井さんにとても惹かれたのであった。(あと顔がタイプです。顔が、タイプです。大事なことだから2回言いました)

 

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※子供のころ家族みんなでヒステリックミニのTシャツを着ていた岩井さん

 

 

2年前の今頃から私の中の岩井ブームは加速し始めた。誰もがそうかもしれないが、私は芸能人にハマるととにかくその人と街で遭遇するシミュレーションする。岩井さんがラジオで話す内容は有力な手がかりで(かなりいい加減な話やシンプルに嘘の話も多いが)例えば自宅のそばに高級スーパーやピーコックストアがあることとか、自宅の裏が墓場なこととか、そんな情報を頼りに岩井さんが都内のどのあたりに出没するかを割り出してみたり、本当にハマるとそういうことをし始める。でくわしたらどんな一言を掛けたら岩井さんにハマるかを考えまくったり。

 

 

そんなことをしていたけど、生の岩井さんをこの目で見るのはそう遠い夢の話ではなかった。もちろん街で出くわすことはなかったが、不定期で開催されている大人気ライブ「デルタホース」のチケットがなんとか当たって、1人下北沢へ向かったあの日のことは忘れられない。舞台に登場した生の岩井さんの姿と、生の岩井さんの声を全身で浴びたところあたりで、私の岩井熱はピークに達したと言えよう。帰宅後興奮冷めやらず、とにかくスピッツナンプラーを聴きながらずっと小躍りしていた。

 

 

 

そしてここ一年ほど、私の岩井熱はだいぶ落ち着いていた。もちろんそんな間にも岩井さんはドラマに出たり、単独でレギュラー番組を持ったり、エッセイを出版したりと好調の様子だったが、私はといえばとりわけ盛り上がることもなく「いやぁ活躍されているなぁ」と見守るに徹していた。

 

 

 

いわゆる「ファン」という人間の中には、長年同じタレントを安定した熱量で追っ掛け続けられるタイプの人々がいるけど、私はどうもそれができない。にわかファンで終わるパターンも多い。もちろん岩井さんに対しては「にわか」なんかではない、確実なファンである自負はあるが。この自分の傾向を「飽きっぽい性格」と一言で片付けてしまうのはどうも遣る瀬無くて、ピークが過ぎた後に「好き」が停滞するこの現象のことを私は「殿堂入り」と呼んでいる。レスリングで言うところの吉田沙保里のような、フィギュアスケートで言うところの羽生結弦のような、連勝し過ぎてもはや順位をつけるのもおこがましいくらい凄い、凄いってみんな分かってるからもう金メダル獲れるかどうかとか正直だれも気にしてなくね?ってくらいのレベルの凄いやーつ。岩井さんはその位置にいると思っている。

 

 

興味が失せたのでも飽きたのではなく、安定期に入ったと言いたい。これまでは「好き好き」と言わずにはいられなかったけど、今となってはもう「好きじゃない訳がない」という域に達したのだ。コブクロ風に言うと、恋じゃなくて愛になった(もううるさい)

 

 

 

そして今回、吉報が続いた。ハライチが単独のトーク&ネタライブ「けもの道」を開催することと、それに間に合わせる形で岩井中華Tの販売が決まったことだった。そんなことがあってふと、もう一度岩井さんに会いに行きたいなぁと思った。なんだかんだ言っても漫才してる時の岩井さんがやっぱり一番カッコいい。センターマイクの前でしたり顔で澤部さんを操る岩井さんを拝みたいなぁとしみじみ思った。とは言ってもデルタホース、すこ夜も然り、岩井さんが出演するライブのチケットを取るのは非常に難しい。帝国民(岩井ファンのこと)はチケ取り界のエース(さらば森田の言葉を借りるなら「サイバーエリート」)と言っても過言ではないくらいあっという間に売り切れるので、この度のライブのチケット販売もかなり倍率が高く、サーバーが混み合うことが予想される。だからどうなるかはわからないが。

 

 

Tシャツは別にライブのグッズというわけではないみたいだけど、もしかしたら、ライブに岩井さんもこのTシャツを着て登場するかもしれない。わたしもこのTシャツを着て、ハライチに会いに行きたい。まだタンスに入ってすらいないけど、わたしのお気に入りのTシャツはこの一枚に決定した。

 

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楽しみィ!!!!!

 

 

 

理屈なしで人を好きになっていい年齢じゃねーよ!

今週のお題「2020年上半期」

 

 

あっという間に今年も折り返しだねと、ここのところしょっちゅうそんな会話をしてるけど、よくよく考えてみれば今年の上半期は異様に長かった。コロナ騒ぎで突然新しい生活スタイルが始まり、慣れないことだらけでメンタルもクタクタになり、とにかくイレギュラーなことがあり過ぎた半年だったからかもしれない。仕事が休業になっていた4月が、もう大昔のように感じる。ここ3ヶ月を切り取っても本当に長かったけど、さらに3ヶ月前となると、もはやどんな暮らしをしていたかも忘れてしまった。

 

 

わたしは誕生日が1月なので、1年の半分が終わるということは、現年齢の半分も終わったということになる。つまり24歳でいられるのも、あと半年。半年後には、25歳になってるのかと思うとちょっと立ちくらみがしそうになる。23歳から24歳になる時も、その年齢の幅は体感としてかなり大きかったけど、個人的には24歳から25歳になる時のほうが、そのラインを跨いだ時に踏み越えるものや過ぎ去っていくものが圧倒的に多い気がしている。

 

 

24歳という年齢は不思議なもので、数字だけを見ると「なーんだ、わたしってまだ24か!まだまだ若いじゃーん!人生これからー!」とか浮かれてしまう。かと思えば、一方では内面の自分のあまりの幼さに気づいて「待って、わたしって24なの?え?世の中の24ってみんなこんな感じ?24ってもっと大人じゃない?大丈夫?え?え?14の間違いじゃなくて?」みたいな感情になったりもする。

 

 

上半期といえば、わたしは24歳になりたての頃、ある男性から告白された。長い長い半年が経った今となってはもう記憶が霞のようになっているが、確かにこれは妄想ではなくリアルに起きたことである。信じてほしい。でも正直、この記憶はなるべく消し去りたい、良い思い出とは程遠い出来事だった。

 

 

その男性とは昨年知り合った。友達の友達みたいな感じで、みんなで出かける時にメンバーの中にいる程度の関係性だった。穏やかで落ち着いた雰囲気があり、お世辞にもイケメンとは言えないが、服装には気を遣っていていつも小洒落れた感じでキメている。決して悪い人ではない。ただし大きすぎる不安要素があった。一つは「自称面食い」を公言しているということ、二つ目は、それでいて年齢が39歳ということだ。

 

 

面食いを自称する人間をわたしは基本的に信用していない。それが男だろうと女だろうと。そんなの正直「わたしは見た目で良し悪しを判断することしかできない馬鹿です」とアピールしてるようなものだろう。そりゃあ誰だって容姿の美しい人に魅力を感じるものだけど、芸能人とかアイドルの話ではなくて、リアルに人を好きになる要素としての話だったら、最終的に顔だけじゃないでしょ。なんてわざわざ口に出して言うのもばかばかしいけど。まぁ本当に顔だけで結婚相手を決める人もこの世の中にはいるだろうから、いろんな人の価値観を尊重したいとは思うけど、わたし個人としてはお友達に選びにくい種類の人々かなと。※つーか面食いを自称してる当人がお世辞にも「良い面」ではない場合、本当にその発言の真意を疑う。鏡をお持ちしましょうか?と言いたい。申し訳ないけど。

 

 

話を戻そう。彼、つまり自称面食い男(39)は、知り合った当初から真剣に付き合える彼女が欲しい様子だった。よくつるんでいるメンバーの中で狙い目の女子(もちろん美女)がいたのだが、彼女が昨年末に電撃婚をしてしまった。そこで一瞬の傷心の後、即座の「推し替え」ということで、二番煎じのわたしのところに話が回ってきた。簡単に説明するとそういう話だ。(江戸時代の将軍家のやり方かな?)二番煎じといっても、電撃婚の美女とわたしとでは見た目も性格も全くタイプが違う。だから何が決め手なのかも全く理解できないし、そもそも切り替え早すぎだろーがってとこでも引っかかるし、もはや自分の許容ゾーンに入る顔をした若い女に手当たり次第に声を掛けているとしか思えず、とにかくドン引きしたわたしであった。

 

 

問題なのは、これが22とかのお年頃の男の子だったらまぁ若気の至りだねとか思えるが、四十手前にしたいい大人がそういうことを平気でしちゃうことである。俄然引く。PULL。ドンPULL。お疲れ様でした。今まで何して生きてきたのォ?とケタケタ笑いながら聞いてやりたい。

 

 

手当たり次第に声を掛けられたんだな、わたしなんてちょろいと思われてるんだな、と自覚しなければならない瞬間は、その相手がどんな馬鹿であっても多少傷つく。自尊心というものが傷つく。この気持ちを分かってくれる女子はたくさんいると思う。しかも、わたしがお断りしたことが何故か彼にとっては意外なことだったようで、「アレ?おかしいな?」みたいな顔で何度も食い下がられ、しまいには「とりあえず3ヶ月だけでいいから付き合ってから決めない?」とか訳の分からない提案までされて、は?3ヶ月ってなんだ?トライアルか?お前はGabaか?それともECCか?どっちなんだ?お?と喉まで出かかっていたけどなんとか飲み込んだわたしを褒めて欲しい。人の気持ちをなんだと思っているんだろう。

 

 

わたしは確かに彼に親切に接していた。でもそれはもちろん人として最低限のことをしていただけで、友達として当たり前の接し方をしていたまでのことで、好意を寄せているような言動をした覚えは一切ない。でも確かにわたしは誰にでも愛想良くしてしまうタイプでもある。昔からそうだ。そうしていないと不安なのだ。だから簡単にイケると思われてしまったのかもしれない。わたしにも責任はあるかもしれない。

 

 

わたしの一体どこが良かったのか、本当に答えられるのか知りたかったので試しに聞いてみた。「顔」とか即答されたらもはや呆れ返って笑いだすところだったけど、さすがにそこまでアホではないらしい。良いところを見せたい女子の前でさすがに面食いアピールはしないだろう。ところがどっこい、予想してない方向に振り切ったアホな答えが返ってきた。

 

「うーんなんていうか、うまく言えないんだけど、好きって理屈じゃないじゃん?

 

聞いた瞬間は、わ〜この人もしかして恋愛指南本とか読み込んできてるタイプ?もしくは学園ドラマの見過ぎ?テラスハウスに出てくるチャラ男の方がまだまともなこと言えそう〜とか思っていた。が、後からジワジワと一種の怒りに近い感情が込み上げてきて、その感情の正体は「もう理屈なしで人を好きになっていい年齢じゃねーよ!!!」だった。ただ大好きだから♡ってそれだけの理由で、いわゆる勢いで付き合えるのってもう20代までじゃない?結婚考えるくらい真剣に彼女探してる39の男が相手の好きなところのひとつもちゃんと言えないで、フィーリングで相手選んで良いわけがなくない?遊びのつもりじゃないなら理性を働かせろ理性を!!現実と向き合え!!つーかその歳になって頭ワシャワシャ掻きながらそのセリフ言って許されるのキムタクだけだから覚えといて?!?!

 

 

でも、冷静に考えたら結局理由なんて「見た目と年齢」しかないんだから答えられないのは当然だった。そもそもわたしたちはあまり知り合ってもいなくて、彼はわたしという人間についてまだほとんど知らないのだ。どうしてもっと人間の内面を知って、友達だろうと恋人だろうと、もっと深いところで繋がろうとしないのだろう。その辺の価値観も全く違う。もう正直、可哀想になってきた。あの人、この先結婚できるのかな。

 

 

 

とまぁ、そんなことがあった今年の初め。そのあとコロナ騒ぎになって彼と会う機会もなくなったので、それ以来話していない。24にしては遅いけど、世の中にはいろんな人がいるといういい勉強になった。そしてわたしはもうちょっと自分の意志をはっきり持った人になりたいと思う。

 

 

24歳と39歳、その差15歳。もし15歳も年上の人と付き合ったりしたらどんな感じなんだろうとか思った。数字では15歳離れていても、精神年齢が文字通り15歳差とは限らないよね・・・

 

とか考えながらニュースを見ていたら、アンジャッシュ渡部と佐々木希の歳の差が15だった。

 

 

 

おしまい

 

仕事を仕事と思えるようになったのは、いつからだっただろう

 

 

前回に続き。ユ◯クロバイトの話。

 

 

 

同じ日に面接をしたD君とまともに会話をしたのは、開店前清掃の担当エリアが同じになった日だった。

 


D君は大学を中退したてのフリーターで、今コンビニバイトと掛け持ちでここに入ったらしい。歳下だ。職場や周りに歳下が増えてきたことにまだ慣れていない自分がいる。あと何年かすればきっと何も感じなくなるのだろうけど、今は「自分が周りより歳上になっていくことを自覚し始める転換点の年齢」だから、同じ面接を受けている人の履歴書をチラ見しては「うわ、歳下か」とプチショックを受ける。

 

 


わたしは短期のバイトだが、彼は長期で応募したらしく、売り場に立って客対応をしていることが多い。朝清掃で彼と顔を合わせるのは珍しい気がした。

 

朝の清掃の時間はまだ出勤している人も少なく、静かな店内を黙々と掃除する。わたしはその時間が何気に一番好きだ。わたしが人知れず楽しんでいるその空気をぶち壊す如く彼は突然話しかけてきた。


「この仕事、けっこう大変っすよね…」


短期バイトのわたしに個人的な会話を持ち掛けてくるようなスタッフはほとんどいなかったので、一瞬、誰に話しかけているのかと思ったが、ここにはわたしとD君しかいない。ふと顔を上げると、やはりD君はこちらを見ていた。もう一瞬 間が空いていたら、たちまち変な空気になっていただろうが、なんとかそれだけは避けられた。適当に同意して会話を始める。しかしこの心の呟きとも取れるD君の言葉だが、取っ掛かりとしての一言なのかと思いきや、よくよく話を聞いてみるとしっかり本音を言っていようだった。


「いや〜、こんなにキツいと思わなかったっす。思ってた感じと違うっていうか…」


面接の時からヘタレの匂いがしたけれど、やっぱりこの感じは本物のヘタレかもしれない。わたしは最近、人を見る目がついてきた(笑)わたしはこのヘタレ臭のフリーターに、よっぽど「そうですかねぇ?まぁ仕事なんてもんは大概こんな感じでしょう」と返したいところだったが、ファーストコンタクトがそれではあまりに印象が悪すぎるのでとりあえず適当に相槌を打つ。


確認はしなかったが、どうやら向こうもわたしが同じ日に面接を受けた人間だということを認識しているらしい。だからおそらく、他のスタッフには言えないようなことでも、同じタイミングで入った短期バイトには漏らしやすいのだろう。

 

それにしても、なにがそんなにキツいのか、やはりわたしにはよくわからなかった。この仕事が特段体力的にキツいという印象はなかった。わたしが難なくこなせているのだから、二十歳前後の男子にとって体力的にキツいわけがない。かといって精神的にキツいとも思わない。女性スタッフ達は、サバサバした仕事デキる系のお姉様が多いので、確かに一見冷たいようにも見える。でもだからといって意地が悪い人や嫌な性格な人はいない。みんな仕事ができて、普通に良い人たちだ。それに女のわたしはともかく、若い男子なら女職場では有利なはずだ。上手くやればチヤホヤされて、ちょっとしたやらかしは愛嬌で許してもらえる。まぁ、そこまで行くには結構な努力と天性が必要だと思うが。

 

経歴こそヘタレのニオイがするD君だが、容姿は細身の長身で顔も小さく、竹内涼真を少し水で薄めたような雰囲気の漂う今どきの爽やか系男子だ。わたしのタイプではない(誰も興味無い)。「大学時代はラクロスサークルでブイブイ言わせてただろうね部門」年間ランキング1位の容姿である(意味不明)。精神力が弱そうにも見えない。頑張れば「チヤホヤされる系」の座を獲得できそうなのに。一体なにがキツいのだろうか。首を傾げることしかできない。

 

 

 

「なんか、全然喋れないですよね〜」


次のD君の言葉がまた引っかかった。「喋れない」とはどういう意味だろう。バックヤードで黙々と品出しをしているわたしがそれを言うならともかく、客対応をするにもスタッフと連携するにも、コミュニケーションは不可欠なのだから、D君のほうが断然喋っているはずだ。あぁとか、へぇとか言って返答に困っているわたしをよそに、D君は1人で喋り続けている。


「なんか、みんな真面目っぽくて喋れる雰囲気じゃないっすよ…」


あ、スタッフ?スタッフたちともっと和気あいあいと喋りたいってこと?なるほど……。ついこの間まで大学生だっただけのことはある。そういうことか。彼がキツいと言う理由の核心部分が、なんとなく分かった気がした。


正直ここのスタッフさんたちがとりわけ真面目であるとか、職場の空気が重いとか、そんなことは決してない。みんな合間に世間話をしているし、お昼なに食べようね〜とかそんなことだって話している。確かにスタッフ陣の性別や年齢層などからすると、若い男子にとって話の合う人間は少ないかもしれない。だけどここは職場だから、そんなものだ。自分次第でどうにでもなる。そもそもみんな仕事をしているのだから、そうペチャクチャお喋りなんてしない。普通の社会人からしたらそこは全く気になるポイントではない。ひょっとしたら彼は、自分はまだ歳も若いし新人だから、もっとフレンドリーに接してもらえる、手厚く優しくしてもらえるとでも思っていたのだろうか。サークルの延長じゃないぞと内心で叱咤するが、なにを偉そうなこと言ってんだ、ともう1人の自分が笑った。


「まぁでも、まだ1ヶ月も経ってないですからね。慣れるまでは大変だと思いますけど、頑張ってください!」


と、わたしは言った。同じタイミングで入った人間が掛ける言葉ではない。なんだその上から目線は。だけど一応年齢的には先輩だし、「どんな仕事も慣れるまでは大変だけど、それを乗り越えてからが楽しい」これは事実だから言っておきたかった。このヘタレ青年の背中を軽く叩いてやりたいくらいだ。

 

 

 

それから1週間ほど経った。わたしはいつものようにバックヤードで黙々と商品の梱包を剥がす作業をしていた。近くにいた何人かのスタッフさんたちが喋りはじめた。

 

 

「昨日 電車乗ったらさ、D君にすごい似てる人見たよ」


「へぇーそうなんだ!彼、何線だっけ?」


「〇〇線。だからたぶんD君だったと思う」


「早かったねー来なくなるの」


「ね。来なくなる子は大体、最初の3ヶ月だよね」


「そうだねー、D君、1ヶ月もたなかったね」


「キツかったのかなー。慣れれば楽しいんだけどね」


「わたしなんて最初の頃、怒られまくっててさぁ〜!辞めたかったわ〜(笑)」

 


思わず、「えっD君来てないんですか!?」と身を乗り出しそうになった。確かにここ数日D君の姿を見ていなかったが、シフトの兼ね合いで会わないだけだと思っていた。でもどうやらD君はもうしばらく来ていないらしい。いくらヘタレでも、まさか無断で来なくなるような子だとは思わなかった。ちょっと寂しかった。

 

 

 

昨日、Twitterで話題になっていた記事を読んだ。たまたまこれも、ユニクロに就職した若い男の子の話を綴っている。

 

 

D君を思い出した。

仕事のことそんなに語れるほど社会人歴長くないけど、仕事って、難しいのな……。

D君、強く生きろよ……。