斜め上からナスコ

言わなくてもいいことを言いたい

拝啓 ドナルド・マクドナルド様

 

 

東京は雪、この冬一番の寒さであろう今日、皆さまいかがお過ごしですか。センター入試はいつも天気悪いですね。

 

昨日は昼休憩に、職場の階下にあるサンマルクカフェへ行って、ランチセットの長いフランスパンを食べたら、今日奥歯とこめかみが痛くなったナスコです。連日の鍋物で、きのこか豆腐か、煮込んだ野菜か、煮込んだうどんしか食べてなかったので、おくちの筋力ステータスがほぼ70代です。硬いもの全然食べてないや。そんでもって今日は無性にチーズリゾットが食べたくなって、初めて作ってみたんですけど、よく考えたらまた柔らかいものだね。しかしあれすごいですね。カサ増しの王様。一合で作ったけど二食分いける。あんなカサ増しできる料理なくないですか?エレファントカサ増し。すみません、くだらないことは言ってません、そういうラジオネームの方がいらっしゃるんです(脱線)ありがたいことに、方々から米をいただくので、米が減らなくて困っています。なんて贅沢な悩み。江戸時代だったら襲撃に遭っているだろうよ。こんなにカサ増しできちゃったらますます減りが遅くなりそうだけど、でもリゾットハマっちゃいそう。料理の下手な私でもできたからオススメです。まあそんな老人食ばかり食べている最近のナスコです。

 

 

さて、仕事の日のお昼になにを食べるか、というのは一日の中で非常に重要な選択であります。新宿でランチと一言で言っても広すぎて解説など不可能ですが、とにかくこの街には食べたい物が溢れている。ランチ代がいくらあっても足りないです。決まったところに通うというよりは、その日の気分に合わせて何を食べるか決めたいタチなもので、いつも休憩前になると、さて今日は何を食べようかと脳内会議が始まるわけです。つるつるっと食べたい時は蕎麦屋、どうしても豚カツが食べたい時は和幸、パンが食べたい時はサンマルクだし、吉牛の気分の日もあれば、コンビニのおにぎりでいい時もある。カレー屋さんもあるし、一風堂もあるし、本当になんでも揃っていて申し分なしなのです。申し分なしなのですが・・・ひとしきり行き尽くした末に、わたしの体が何か物足りなさを訴えておりました。何かが足りない、こんなにも満たされているのに、何かが欠けている。マンハッタンの高級豪邸で、家の中でもパールのネックレスをしているセレブ妻が日暮れ時に、窓の外の遠くの何かを見つめている時のような、そんな満たされない表情で新宿の街をぶらついておりました。職場を出てから10分、もう諦めて来た道を戻ろうかと思っていた矢先、わたしの目に飛び込んできたもの。それは新宿の雑踏の中に、頼もしくそびえるあのエンブレム。たとえどんな街で出くわしても安心感を与える見慣れたあの赤と黄色。王が鎮座するようなフォルムの美しいMの文字。そう、わたしが探していたのは、わたしがずっと探していたのは、マクドナルド!!!!ドナルド・マクドナルド!!!!!!

 

 

吸い込まれるように無心で店内に足を踏み入れると、まずは鼻をくすぐるフライドポテトの香り。びっくりするほどありきたりな洋楽のBGMと、ポテトが揚がったことを知らせるお馴染みのサイレン。周りの倍速で作業をこなす四、五十代のやたらかっこいいバイトリーダーらしき女性店員。いつもなんとなく油っぽくて、お世辞にも清潔とは言えない白い簡易的なテーブルと、床に固定されていて少々座りにくいカラフルな丸椅子。それでもわたしは、ここに座りたい。ここに座って、熱々のグラコロと、法スレスレレベルに薄まってるスプライトと、フニャフニャのフライドポテトにありつきたかったのだ。そう、これが足りていなかったのだ。1000キロカロリーは余裕で超えるであろうセットメニュー。1時間とない昼休憩の間にこれを完食し、何事もなかった顔でまたデスクに戻ってあと半日座ったままでいるというこの罪悪感。マンハッタンのセレブ妻がついに出逢ってしまったこの密かな楽しみ。ああ、こんなところにマクドナルドがあったなんて。なんでもっと早く気がつかなかったのかしら。そりゃあ気がつく訳もないでしょう。だって職場から10分も歩くんだもの。同僚たちは、まさかわたしが短い休憩時間に寒空の下を10分も歩いてランチしているとは、しかもその行き先がマクドナルドだとは思ってもみないことでしょう。マクドナルドのために往復20分を犠牲にする人なんていないわ。それでもわたしはここへ、何度でもここへ来たいと思うのです。そう、ドナルド・マクドナルドのためなら・・・。

 

 

わたしの育った街には、周辺の各所にマクドナルドがあって、行こうと思えばいつでも行くことができました。駐車場も駐輪場も店内も広くて、もちろんドライブスルーもあり、全く不便のない優秀なマクドナルドでした。小さい頃はチーズバーガーを一つ完食するのもやっとで、まぁ、先にポテトばかり食べるからいけないんですけど。あるあるですよね。あと、チーズバーガーのなかに入ってるピクルスが嫌いでいつも抜き取っていました。今となっては、あれがなければチーズバーガーじゃないと思うほどに重要な存在ですが。

 

ところが、一人暮らしをするようになって住み始めた都内の街には、あのエンブレムが見当たりませんでした。やっと見つけたマクドナルドは家から自転車に乗って10分、駅前の狭い店舗で、ドライブスルーはもちろん駐輪場さえもなく、平日の昼間や土日はいつでも客がごった返して、狭いレジ前に列になってその列が店の外まで飛び出ているではありませんか。こんなに入りにくいマクドナルドなんて地元では見たことがない。幻滅の極みです。隙があればマクドナルドで休憩したがっていたわたしが、まさか店に一瞥もせずに無表情で通り過ぎるなんて。信じられない。これが都会か。わたしも東京に染まったな。家の近くにあるファストフードは、モスバーガーロッテリア仕方がないから、このどこに持って行ったらいいかわからない遣る瀬無さを、彼らにぶつけたこともありました。モスのトマト感たっぷりのモスバーガーも、値段は少々気取っているが変わり種が楽しいロッテリアも、好きだけれどやっぱり何かが足りない。わたしを完全には満たしてくれなかった。何が違うのかは分からない。相性の問題だろうか。うまく説明できない。分からないけれど、でもやっぱりわたしはマクドナルドが好きなのだ。だからわたしは仕事の休憩時間に、10分歩いてでもマクドナルドへ行く。

 

 

愛するマクドナルド。いつもありがとう、そしてこれからもよろしく。

 

 

 

ということで、マクドナルドさん、宣伝費ください。笑